熱中症の予防対策
職場における熱中症を予防するために、対策を講じましょう。
作業環境の管理
WBGT値の低減
- WBGT値が、WBGT基準値を超える(おそれのある)作業場所(高温多湿場所)においては、熱を遮る遮へい物、直射日光・照り返しを遮ることができる屋根や、通風・冷房の設備の設置などに努めてください。
◎ 通風が悪い場所での散水については、散水後の湿度上昇に気を付けてください。
休憩場所の整備
- 高温多湿作業場所の近隣に、冷房を備えた休憩場所・日陰などの涼しい休憩場所を設置するよう努めてください。
- 高温多湿作業場所やその近隣に、氷、冷たいおしぼり、水風呂、シャワーなどの、身体を冷却できる物品や設備を完備できるように努めてください。
- 水分及び塩分の補給を、定期的に容易に摂取できるように高温多湿作業場所に補給所を備え付けれるよう努めてください。
作業の管理
作業時間の短縮や時間変更
- 作業状況に応じて『作業休止時間と休憩時間の確保。高温多湿場所での連続作業時間の短縮。気温湿度の低い時間への作業時間の変更。』『身体作業強度(代謝率レベル)が高い作業を避ける。』『作業場所の変更』などの検討をしてください。
熱への順化
- 計画的に、熱への順化期間を設けてください。
◎ 例:作業者が熱へ順化してない状態から、7日以上かけて熱へのばく露時間を徐々に長くしていきます。
(ただし、熱へのばく露を中断すると、4日後には順化の喪失が始まり、3〜4週間後には完全に失われます。)
水分と塩分の補給
- 自覚症状の有無に関わらず、作業の前や途中、定期的に水分、塩分を強制的に補給してください。水分と塩分の補給がとても重要です。
- 摂取を確認する表を作成し、作業中に巡視して確認するなどして、習慣化し、水分・塩分の摂取を徹底してください。
◎ 作業場所のWBGT値がWBGT基準値を超える場合、少なくとも、0.1〜0.2%の食塩水、または、ナトリウム40〜80r/100mlのスポーツドリンクなどを20〜30分ごとに摂取することが望ましいです。(但し、身体作業強度などに応じて、必要な摂取量は異なります。)
服装の選択
- 熱を吸収する服装、保熱しやすい服装は避け、クールジャケットなどの、透湿性・通気性の良い服装を着用しましょう。
- 直射日光下では、通気性の良い帽子などを着用しましょう。
作業の巡視
- 高温多湿作業場所の作業中は、巡視を頻繁にし、作業者が定期的な水分や塩分の補給をしているかどうか、作業者の健康状態に異常がないか確認してください。
- なお、熱中症の兆候が表れた場合は、作業を中断させ必要な処置を施してください。
健康の管理
健康診断結果に基づく対応
- 健康診断及び異常所見者への医師の意見に基づく作業上の処置を徹底してください。
- 労働安全衛生規則第43条〜45条に基づく健康診断の項目には、糖尿病、高血圧、心疾患、腎不全などの、熱中症の発症に影響を与えるおそれのある疾患と密接に関係した、血糖検査、尿検査、血圧の測定、既往歴の調査などが含まれます。
- 労働安全衛生法第66条の4・第66条の5に基づき健康診断で異常所見があると診断された場合には、医師などの意見を聴き、当該意見を勘案して、必要があると認められるときは、事業者は、就業場所の変更、作業の転換などの適切な措置を講じることが義務付けられています。このことに留意して、これらの徹底を図りましょう。
- 熱中症の発症に影響を与えるおそれのある疾患を治療中の労働者について。
- 事業者は、高温多湿作業場所における、作業の可否、当該作業を行なう場合の留意事項などについて、産業医・主治医などの意見を勘案して、必要に応じて、就業場所の変更、作業の転換などの適切な処置を講じてください。
◎ 熱中症の発症に影響を与えるおそれのある疾患には、糖尿病、高血圧症、心疾患、腎不全、精神・神経関係の疾患、広範囲の皮膚の疾患などがあります。
日常の健康管理
- 睡眠不足、体調不良、前日などの飲酒、朝食の未摂取、感冒などによる発熱や下痢などからくる脱水症状などは、熱中症の発症の原因になります。
- 熱中症の発症に影響を与える恐れのある疾患を治療中の労働者について。
◎ 日常の健康管理について、指導を行ないましょう。必要に応じて、健康診断を行なってください。
◎ 熱中症を予防するための対応が必要であることを労働者に対して教示するとともに、労働者が主治医などから熱中症を予防するための対応が必要とされた場合、または労働者が熱中症を予防するための対応が必要となる可能性があると判断した場合は、事業者に申し出るように指導してください。
労働者の健康状態の確認
- 作業前・作業中の巡視などによって、労働者の健康状態を確認してください。
身体状況の確認
- 休憩場所などに、体温計や体重計などを備えることで、必要に応じて、体温、体重、その他の身体の状況を確認できるように努めてください。
- 以下は、熱へのばく露を止めることが必要とされている兆候です。
- 心機能が正常な労働者については、1分間の心拍数が、数分間継続して、180から年齢を引いた値を超える場合。
- 作業強度のピークの1分後の心拍数が、120を超える場合。
- 休憩中などの体温が、作業開始前の体温に戻らない場合。
- 作業開始前より、1.5%を超えて体重が減少している場合。
- 急激で激しい疲労感、悪心、めまい、意識喪失などの症状が発現した場合。 など。
労働安全衛生教育
- 作業を管理する者や労働者に対して、あらかじめ次の事項について労働安全衛生教育を行なってください。
- 熱中症の症状
- 熱中症の予防方法
- 緊急時の救急処置
- 熱中症の事例
救急処置
緊急連絡網の作成・周知
- あらかじめ、病院・診療所などの所在地、連絡先を把握するとともに、緊急連絡網を作成し、関係者に周知してください。
救急措置
- 具体的な救急処置については、下記のリンク熱中症の現場での応急処置を参考にしてください。